かし戦死はいやですね」
「重傷でもいいなあ。そしておれも重傷だ。どっちも、うごけないというのならいいだろう」
「なるほど、それは名案だ」
「それになあ」とパイ軍曹はもったいらしい顔付《かおつき》で「さっきから見ていると弾丸をうっているのは、こっちばかりなんだ。日本機は、どういうものか、一発もうってこないで、ひらりひらりと逃げまわってばかりいるのだ。だから、向うがうってくるまで、こっちでもうたなくていいんだ。どうだ、おれはなかなかおちついて、物事をよく見ているだろう。えへん」
 パイ軍曹は、ちょっぴり鼻をうごかしてみせた。
 ピート一等兵はそれをいいことにして、パイ軍曹のそばにすわりこんでしまった。
 そのうちに、僚機の機銃のうち方が、きこえなくなった。
「ああパイ軍曹どの。射撃をしなくなったです。どうしたのでしょうかなあ」
「さあ、どうしたかなあ。察するところ日本機は全部、うちおとされたのかもしれないぞ」
 パイ軍曹は、景気のいいことをいった。
「そうですかなあ。急に、こっちがつよくなったんですね」
「お前みたいな下手《へた》くそな射手ののっているのは、この飛行機だけだ。他のやつは、元
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