地中魔
海野十三
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)丸《まる》の内《うち》
|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)私立探偵|帆村荘六《ほむらそうろく》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)それでわし[#「わし」に傍点]のところへ
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少年探偵三浦三吉
永く降りつづいた雨がやっとやんで、半月ぶりにカラリと空が晴れわたった。晴れると同時に、陽の光はジリジリと暑さをもって来た。
ここは東京|丸《まる》の内《うち》にある有名な私立探偵|帆村荘六《ほむらそうろく》氏の探偵事務所だ。
少年探偵の三浦三吉《みうらさんきち》は、今しも外出先から汗まみれになって帰って来たところだ。いきなり上衣《うわぎ》とシャツとを脱ぎすてると、乾いたタオルでゴシゴシと背中や胸を拭《ふ》いた。それがすむと、どこから持って来たのか冷々《ひえびえ》と露の洩《も》れている一升壜《いっしょうびん》の口を開いてコップに移した。冷え切った麦湯! ゴクンゴクンと喉を通って腸《はらわた》までしみわたる。
「ああ、いい気持だ」
と三吉少年
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