ンルンルン、どこからともなく響いてくるエンジンの音――あれは若《も》しや噂に聞く地底機関車ではないだろうか。
少年探偵の疑問
「岩」という怪盗は、さきに世界に一つしかないという地底機関車をさらっていったが、それから間もなく、今度はエンプレス号の金貨百万|弗《ドル》を、正金銀行の大金庫から、やすやすと奪い去った。
少年探偵三吉は、珍探偵大辻又右衛門と一緒に、この事件の探偵にあたっている。
大辻の方は、「岩」の足型を後生大事《ごしょうだいじ》に抱《かか》えているのに対して、わが三吉は理科大学の造築場へ、月島から搬《はこ》んできた青い土に眼をつけている。
「日本橋室町附近にしかないといわれるこの青い土が、どうして月島から掘り出されるんだろう?」
と、これが三吉の大疑問だった。
さて「岩」は、どこに潜んでいる?
博士の地震計
「そんなばか気たことがあるものかね」
そういったのは、鉱物学の大家《たいか》、真鍋博士だった。前には三吉と大辻とが控《ひか》えている。
「そうだ、ばかばかしいや。おい三吉、もう止《や》めて帰ろうよ」と大辻老は腰が落付かぬ。
「いや先生
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