いないと仰有るのですか」
帆村はぐっと唇を横に曲げた。
「そういう御心配があるのなら、あとから御覧に入れましょう。あなたのお取替になった黒い灰は、あれは僕があとから拵えておいた第二世なんです。第一世は、灰の形もくずさず、硝子の容器におさめて、あっちに保存してあります」
「えっ」
「もちろんその灰に、紫外線をかけましてね、さっき読み上げた告白書の文句を読み取ったのです。それからあなたさまにはたいへんお気の毒ながら、その告白書の一部が燃え切らずに残っていましてね――あの黒い灰を灰皿から横へ移してみて始めて分ったのですが、灰の下に、一枚の切手位の面積の燃えない部分が残っていたのですよ。それを分析して――なにをなさる」
「は、はなせ」
亀之介は、椅子を台にして窓の枠へとびのり、外へ飛び下りようとした。が、警官が素早くその片足をつかまえてしまった。
「身体検査をして下さい。心配ですからねえ」
帆村はそれを頼んだ。亀之介の身体は厳重に調べられた。
「そこに妙なところにポケットがある。なにか入ってやしませんか」
「あ、ありました。薬の包らしいが……」
亀之介はそれを取戻そうとしてもがいた。し
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