なたにおたずねしたいのは、事件の当夜、あなたはこの部屋へ入って来られて、この空缶を見ましたか。どうです」
帆村の目は、するどく三津子の横顔へ。
「さあ……空缶は見ませんでしたけれど……」
否定はしたが、三津子はあと口籠った。
「見ませんけれど――けれど、どうしたんですか」
三津子は写真の中を熱心に見入りながら、
「この缶でございますね、レッテルの貼ってない裸の缶で、端のところに赤い線がついている……」
「そうです。それです」
帆村はその細い赤線がついていたことまで覚えていた。そして検事の方へ目配せした。検事は心得て、大寺警部に耳うちをして、本庁へ電話をかけ、その空缶をすぐここへ持ってくるように命じた。
「その空缶は、たいへん軽い缶詰ではございませんか」
「えッ……そ、そうかもしれません]
帆村は電撃をくらったほど愕いた。“たいへん軽い缶詰”――そんなことは今まで想像したこともなかった。帆村は愕いたが、三津子の方は別に愕いていなかった。
「その缶詰なら――その缶詰なら、あたくしはこの部屋で見ました。しかしこの写真にあるように、あけてはございませんでした」
「あけてなかったという
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