末が指紋をそれにつけた場所と時間とが分ると、この事件を解く一つの有力な鍵が見つかったことになるのではあるまいか――と、帆村はひそかに胸をおどらせているのだ。
更に興味津々たるは、第四の指紋の主のことである。彼(または彼女)は、これまでにこの事件に登場したことのない人物なのである。果して如何なる人物であろうか。それこそ兇悪なる真犯人であるかも知れない。また、それは事件に関係のない売店の売子の指紋であるのかも知れない。
さて、旗田邸に集まる検察官と帆村探偵のところへ鑑識課から右の指紋報告の電話が来て、ひとしきり討論が栄えたあとで、長谷戸検事は、帆村が引続いて取調べを進行させる意志があるなら、暫く君に委かせておいていいといったので、帆村は肯いて、自ら取調べ続行をする旨表明した。
「土居三津子氏をここへ呼んで頂きましょう」
帆村の要請は、係官たちもそれが当然の順序だと同感した。そして三津子が再びこの部屋に入って来た。
「おたずねしますが、この写真のここにうつっている缶詰の空缶が一つあります。これはこの写真のとおり、この小卓子の上に載っていたもので、今本庁へ持っていっています。――そこであ
前へ
次へ
全157ページ中128ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング