た。
「あーッ。レモン水を……」
私は、うわごとみたいに云った。
「レモン水は、ありません」
と、オルガ姫がこたえた。
「深度が、自然に殖《ふ》えていきます。本艇は、沈下しつつあります」
「えっ、沈下? そいつは、いけない。どうにかしろ、おいオルガ姫……」
とまで、云ったことを覚えているが、そのあとは知覚を失ってしまった。
最悪の事態来る!――X大使よ力をかしてくれ
オルガ姫の饒舌《じょうぜつ》に、私ははっと気がついた。
「うるさいな、しずかにしろ」
私は半ば無意識で、オルガ姫を叱りつけた。
でも、オルガ姫の饒舌は、停らなかった。
「おい、しずかにしろというのに……」
何といっても、オルガ姫はお喋りをやめない。
「……鎖が、また一本切れました。あ、また別の鎖が二本本艇の胴を巻きました。深度五十四、五十三、五十二、五十……」
私はやっと、完全に意識を取戻した。
(鎖だって……)
なにが、オルガ姫に鎖の話をさせているのであろうか。本艦の胴中に、鎖が巻きついて、どうしたというのか。まるで見当がつかないことが起った。
私は視力の弱った眼を、しきりに瞬《またた》
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