きして赤外線望遠鏡をのぞいた。そしてようやく、本艇の付近で今、何事が起りつつあるかを諒解《りょうかい》した。いや、たいへんである。いつの間にか、わが艇の胴のまわりには五、六本の太い鎖が、巻きついているのであった。その鎖を、だんだんと上に辿《たど》っていくと、四、五十メートル上に、巨大な船底が、天井のようになって、視界を遮《さえぎ》っていた。鎖は、その巨大な船から、繰り下げられているのであった。
「……深度四十八、四十七」
 オルガ姫の声が、改めて私の注意を揺り動かした。
「これはいかん。わが艇は、何者かの手に捉えられ、今、どんどん水面に吊り上げられていくのだ。ぐずぐずしていると、もう二度と、自由な身になれないぞ」
 私は、金槌《かなづち》で、頭をガーンと殴られたような気がした。黒馬博士ともあろうものが、敵の捕虜にはなるし、魚雷型快速潜水艇を、そっくり取られてしまうし、それに、この分では、クロクロ島の秘密まで、知られてしまうであろう。これでは全く話にならぬ。なんとかして、この急場を取り繕《つくろ》って、逃げ出さねばならない。
(どうしよう。どうすれば、彼等の手から、逃げ出せるであろうか)
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