ると、このまま岩礁にでも舳《へさき》を激突させ、不本意な自爆をやるようなことにならぬとも限らない。いや、限らないどころかその虞《おそ》れが、充分にあるのだ。
「オルガ姫、急いで速度を下げろ。時速十キロまで下げろ!」
私はついに、そう命令せざるを得なかった。いや、考えるまでもなく、いまわが艇は危険な状態に置かれているのだ。
「はい、速度下げます。只今、三百五十キロ。はい、三百四十、三百三十……」
「あ、そんなことじゃ駄目だ。もっと下げろ。最大急行で、下げろ」
「はい。最大急行で下げます」
私は次の瞬間、目の前がまっくらになるのを感じた。ものすごい頭痛が、私を苦しめた。――そして嘔気を催した。あまり急いで、速度を下げたからである。慣性緩和枕を、頭のところに取りつけてあったけれど、こんなものは、何の役もなさなかった。
「……時速二十、時速十五、時速十。時速十になりました」
「よ、よろしい」
私はやっと、それだけの言葉を吐いた。全身は汗でびっしょりである。関節がぴしぴしと痛む。今にも頭が割れるかと思った。
頭痛だけは、すこし緩和《かんわ》した。
「あーっ」
私は溜息《ためいき》をつい
前へ
次へ
全156ページ中98ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング