は油断しなかった。
「身勝手なことを、いってはいかん。私をこんな目にあわせて置きながら、友好的協力もなにも、あったものじゃない」
 私は、すかさず抗議をしてやった。
「まあ、そういうな。今、君が遭っている異変は、魔術でもなんでもない。わしは君に、わしの偉力を、ちょっぴり見せたかったのだ。――だが、今君は、わしに対して感情を害しているようだ。わしは、これ以上無理に君を圧迫しまい。私は自ら一時退却する。しかし、この際、君に一言のこして置くから、忘れないでいてもらいたい」
 と、X大使は、改まった調子で、
「今後、君たち大東亜共栄圏の民族は、更に大きな危険に曝《さら》されることになるだろう。そのとき、救援が欲しかったら、わしに求めるがいい。わしは、ちょっとした交換条件をもって、君たちを全面的に援助するだろう。どうか、それを忘れないで……」
 そういったかと思うと、X大使の姿は、俄《にわ》かに、アーク灯のごとく輝きだした。いや、大使の姿だけではない。私の身のまわりの暗黒世界が、一時に眩《まぶ》しく輝きだした。私はあっと叫んでその場にひれ伏した。そして知覚を失ってしまったのである。


   確
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