し、X大使は、無遠慮にからからと笑い、
「あははは、可哀いそうな者よ。なんとでも、好きなように自惚れているがいい。そのうちに君たちの大東亜共栄圏は、白人たちの土足の下に踏みにじられるだろう」
「やあ、そういう君は、白人種結社から派遣されたスパイだろう」
「違う」
 と、X大使は、言下につよく否定したが、しばらくその後を黙っていて、やがてなんだかわざとらしい調子の言葉になって、
「……まあ、なんとでも想像するがいい。しかしとにかく、わしは君に警告しておく。もう、あのようなくだらん磁力砲《じりょくほう》などを仕掛けるのはよせ」
「余計な御忠告だ。そういう君は、磁力砲の偉力に、すっかり参ったというわけだろうが……」
 私は、大使が、悲鳴をあげているのだと確信した。
 するとX大使はまた、ふふんと鼻で嗤《わら》い出して、
「おい、黒馬博士。君は学者のくせに、いつまで、迷夢《めいむ》から覚めないのか。君は、この暗黒世界のことを、何だと考えているのか」
 X大使の言葉は、私の腕に、針を突込んだように痛かった。私は、かなり強がりをいっているものの、踏みしめるべき大地のないこの暗黒世界に、ひとり封じこ
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