れは実に私が今、怪人X大使の捕虜になっているという事態を悟り得たことであった。
おそるべきX大使の魔力よ。
怪声《かいせい》張《は》るX大使――白人種結社から派遣されたスパイ?
「あれは正当防衛だ。あなたから、恨まれる筋はないのだ」
X大使だと知って、私は猛然と、敵愾心《てきがいしん》を盛り起した。
「なんだ。その正当防衛という意味は?」
X大使の声が、問いかえした。
「そうではないか、X大使、断りもなく、わがクロクロ島の内部まで侵入して来るような相手に対しては、吾々は、いかなる手段を用いても、防衛するのだ。当り前のことではないか」
「なあんだ、そんな意味か。ばかばかしい」
と、X大使は、吐き出すようにいって、
「君の方では、あれで、厳重な戸締りをしたつもりなんだろうねえ。人間なんて、自惚《うぬぼれ》ばかりつよくて哀れなものだ」
「人間? お互いに人間であることに、変りはない。X大使よ、君は人間の悪口をいうが、それは天に唾をするようなものではないか。つまり自分の悪口をいっているわけだからねえ」
私は、むかむかして、こっぴどく大使をやっつけたつもりだった。
しか
前へ
次へ
全156ページ中74ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング