年先が分る器械」のことにしろ、「お化け地球」のことにしろ、どっちも、われわれの想像を越えた話である。
 そういう話をもちだして放送するとは、われわれを嚇すことを目当てにやったものに、ちがいない。いよいよ油断ならないのは、その怪放送者である。
 私は、沈思黙考《ちんしもくこう》すること一時間あまり、ついに肚《はら》をきめるに至った。
(よオし、たとえいかなる犠牲を払おうとも、怪放送者の正体をつきとめないではおかないぞ!)
 私は、オルガ姫に命じて、再び怪放送を自動的に受信する装置を、仕掛けておくように命じた。
 それがすむと、私は、自ら秘密中継送信機の前に立ってまず真空管に火を点じた。
 その大きな硝子球《ガラスきゅう》は、器械囲いの中で、ぼーっと明るくなった。異状なしである。私は、送信機全体に、スイッチを入れた。そして、マイクを手にとったのである。
「やあ、久慈《くじ》君か。こっちは私だが、なにか変った話はないか」
「おお、お待ち申していました。たいへんなことを、聞きこんだのです。いよいよ汎米連邦《はんべいれんぽう》は戦争を決意したそうです。連邦の最高委員長ワイベルト大統領は、今から一
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