年後に、たいへんな変り方をするわけである。
 なぜ、そんなことが起るのであろうか。なぜ地球は、そんな風に化けるのであろうか。
 これを報告したのは、金星のブブ博士であるという。博士は、三十年後に、地球の表面にあのような変化がおこることを予言したのである。
 いや、予言ではない。博士は三十年後の、そのお化け地球を、はっきり見たというのである。
 電信の文句の始めが、空電のため、邪魔をされて、文意がはっきりしないが、兎に角、三十年後のことがよく分る器械があるらしい。
 察するところ、それは、ウェルズという科学小説家が空想したことのある「時間器械」というような種類のものであるかもしれない。これは油断《ゆだん》のならぬ世の中になったものである。
 私は、こうして考えているうちに、なんだかその怪放送者が、私の敵であるように思われて仕方がなかった。
 つまり、その怪放送者は、自分のところにある「時間器械」らしいものを、ひけらかせ、そのうえ、われわれが現にこうして棲んでいる地球が、三十年後には、不思議なる変り方をするんだぞと、われわれを嚇《おど》しているのだ。
 全く、夢のようにふしぎな話だ。「三十
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