士の報告である。
西暦一九九九年といえば、今から約三十年後のことである。果してわが地球は、そのころ、左様《さよう》な異変を起すであろうか。もしそのような異変を起すものとせば、その原因は、如何なることであろうか。
金星のブブ博士でなくとも、われわれこの地球に棲んでいる者として、たいへん気になることである。もしやそれは、例の大陰謀《だいいんぼう》……」
というところで、放送者の声は、惜しくもまた空電に遮《さえぎ》られてしまった。その後は、ついに、聴くことができないでしまった。空電が消えたときには、その怪放送も、空間から消えていた。
汎米連邦《はんべいれんぽう》――いよいよ第三次世界大戦か?
「お化け地球事件」をつたえた怪放送の謎!
私は、只ひとり苛々し、呻吟《しんぎん》した。
その怪放送者は、何処の何者であるかわからないが、たしかに、この地球のうえの、どこかに棲んでいる者にちがいない。彼は、どうして、その「お化け地球事件」のことを知ったのであろうか。
いや、それは兎《と》も角《かく》としても、もしその放送が、真実をつたえているものであるとしたら、地球は、今から三十
前へ
次へ
全156ページ中5ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング