メートルのところであった。見事に拡がった主傘は無印であった。只、緑の煙が、すーっと後を曳いたので、
「あ、やっぱり、そうか。久慈たちだな」
と、気がついた。
落下傘は規則正しく、わがクロクロ島上に落下した。と同時に、主傘はたちまち焔と化し、一瞬に燃え尽きた。久慈たちは、まるで台の上から飛び下りたように、ふんわりと島の上に立った。
怪力線砲《かいりきせんほう》――壮絶《そうぜつ》燃える六十機
「おお、久慈か。よく、脱出できたね」
「や、ありがとう」
飛行服に身を固めた久慈は、いそぎ私に近づき感激の握手をした。
「もういけないかと思った。なにしろ、戦友が、ばたりばたりとやられるのだ……でも、集るだけは集って、抵抗した。そして、皆で智慧をしぼって試験中の成層圏飛行機で、とびだしたものだ」
「ほう、成層圏飛行機! それじゃ、たいへん高空へ逃げたというわけだな」
「エスエス一〇三型という奴で、こいつがまた素晴らしい高速を出す試験中の飛行機なんだ。だから、これを追跡できる飛行機は、外にはないというわけだ。――そしてクロクロ島の緯度《いど》経度《けいど》を測って、うまく飛び下りた
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