とは常識の範囲で、誰でも知っていることだ。それはつまり、資源問題だ。汎米連邦《はんべいれんぽう》にしろ欧弗同盟《おうふつどうめい》国にしろ、自己の領土内の資源では足りないから、足りない資源を得るため相手国を攻略しようというのだ。こんなことは、私に聞くまでもない話だ」
と私は、極《きわ》めて平明にのべた。
「ふむ、やっぱりそうか」
と、X大使は声だけで肯き、
「そこで次の質問になるが、第三次世界大戦の結果、仮りに汎米連邦が欧弗同盟国を征服してヨーロッパとアフリカを自分の手におさめたとする。さて、そうしたことによって、この資源不足問題は、解決するだろうか。君はどう思う?」
X大使の質問は、この方が本題だったらしい。事実私は、この質問には、答えることをちょっと躊躇《ちゅうちょ》しないわけに行かなかったが、さりとて答えないでいることは、相手に軽蔑《けいべつ》され、こっちの弱みになることだと思ったので、私はついにいった。
「そりゃ、解決するさ。勝者と敗者とができて、勝者は敗者のもっていた資源を利用する」
「あははは、そんな子供だましの答は御免《ごめん》蒙《こうむ》る。なるほど、一応解決する
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