ま[#「へま」に傍点]をやったことはないのだがねえ」
「測定の誤差というよりも、測定方法がいけないのじゃないか」
「そんな筈はないのですが……たしかに、こっちの専門家が、苦心して三つの中継局を探しだし、確信のうえに立っているといわれたものですが……」
「とにかく、もう一度、連合艦隊|旗艦《きかん》へ連絡をとってみることにしよう。旗艦を呼び出したまえ」
「は」
 それから、小一時間も、哨戒艦隊は、なおも、そのあたりをうろうろしていたようである。だが、私は、彼等の会話を、盗聴《とうちょう》して、これなれば、こっちは安全であるとの自信を高め得た。
 なぜなれば、その付近の海底を、いくら探してみても、海底から、とび出したものなどは、発見されないのであった。もちろん、海面を見わたしたところで、クロクロ島の姿が見えるわけのものでもなかった。わがクロクロ島は、完全に、彼等の感覚の外にあったのである。
 ――というと、まるで魔法使いの杖の下に、かき消すように消えてしまった兎《うさぎ》のように思われるであろうが、そのような、いかさま現象ではない。わがクロクロ島は、ちゃんと現存しているのであった。私が、こ
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