らない。さっぱりわからない。
 あの夥《おびただ》しい日本人は、どこへいってしまったであろうか。鬼塚元帥は、どうなったであろうか。
 わからない。さっぱり、わけがわからない。
 私は、悶々《もんもん》として、二時間ばかり、そこに時間を過ごしていたであろう。
 いくら、こうしていても、際限《きり》がないので、私は仕方なく、またもう一度、三角暗礁へ帰ることにしようと思った。謎は、ついに解けそうもないのであった。私は、オルガ姫をよぶために、伝声管を手にとって、新しい命令を伝えようとしたが、そのとき、オルガ姫の方が、私に呼びかけてきた。
「ベトンから、塔のようなものが、もちあがってきました。右舷前方、約十メートル先です」
「なに、塔のようなものが、もちあがってきた?」
 ベトンは、墓場のようなものであろうと思っていたのに、今オルガ姫の知らせによると、そのベトンの背中から、塔のようなものが、もち上ってきたというのである。
 私は、ひどい衝撃をうけて、目まいを感じた。しかしそれをやっと怺《こら》えて、水中望遠鏡に目をあてた。なるほどたしかに右舷前方十メートルばかりのところに、頭を丸くした小さい灯台
前へ 次へ
全156ページ中137ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング