は、私を強く興奮させてしまった。なかなかベッドに入るどころではない。首《こうべ》を巡《めぐ》らせば、今オリオン星座が、水平線下に没しつつある。私は、暫く、星の世界の俘虜《とりこ》となっていた。
階段を駈けあがってくる足音が聞えた。
オルガ姫だ。
(さては、遂に、第三回目の怪放送が、キャッチされたか)
と、私は、古びた籐椅子から、体を起した。
やっぱり、それはオルガ姫だった。
「大至急、下へお下りになってください。この方面へ、怪しい艦艇が近づいてまいります」
「なに、怪しい艦艇が……」
このクロクロ島のあるところは、各種の航路をさけた安全地帯なのである。ところが今、怪しい艦艇が近づきつつありと、オルガ姫は、報告してきたのであった。
怪しい艦艇とは、いずくの国のものぞ。
その詮議《せんぎ》はあとまわしだ。今は、なには兎《と》もあれ、待避《たいひ》しなければならない。私は、椅子から腰をあげた。
「姫、籐椅子《とういす》を、下にもってきてくれ」
「はあ」
「それから、後を頼むぞ」
「はい」
私は階段を、駈《か》け下《くだ》った。
つづいて、オルガ姫が椅子を持って、階段を駈け下
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