だ。
 もちろん私は、提督の願いを一蹴した。すると提督は、私の真意を勘ちがいして、更に歎願するのであった。
 そのとき、私の耳許に、囁《ささや》いた声があった。
「黒馬博士。ピース提督に、こう云ってみたまえ。“では提督は今直ちに立って、欧弗同盟国軍に対して、砲門を開くだけの決心があるか”と……」
 それは、X大使のこえだった。
 私は、ちょっと無念だったけれど、前からの約束でもあったから、大使のことばを、提督につたえた。
 すると提督は、失心せんばかりに愕いて、
「いや、そんなことは出来ない。それは、絶対に不可能だ」
 X大使のこえが、また私の耳にささやいた。私は大使の代弁者となって、大使のささやくとおりを云う。
“君が、欧弗同盟軍に対して砲門を開くことは、絶対不可能だというなら、こっちも四次元跳躍術をコーチすることは真平だ”
「ま、待ってください。余に、しばらく考える時間をあたえよ」
“ぐずぐずしていられないぞ。副長が、こっちへ来る様子だ”
「あっ、副長が……。ここからは見えない筈の艦内まで、博士は見る力を持っているのか。うむ、愕いた。……が、今しばらく……」
 気の毒にピース提督は
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