ピース提督は愕きに負けまいとして、あぶら汗をかいて頑張っているのが、私にはよく分った。
私はいつの間にか、透明人間になっていたわけである。X大使はよくこれと同じことをやって、私を愕かせたものである。今それを私がやっているわけだ。ふしぎだ。ふしぎはふしぎであるが、なんという愉快なことであろう。こっちは絶対優勢、向うは白旗をかかげるほかはない。
そのとき提督は、自分の席についた。彼の顔はなんとなく、生気をとり戻したようだ。
「さあ、余は腰をかけた。君もその椅子に、腰をおろしたまえ、四次元の人!」
四次元跳躍術《よじげんちょうやくじゅつ》――大東亜共栄圏から
四次元の人!
ピース提督は私に対して、そうよばわった。
(ああ、四次元の人!)
私はそのことばを、青天の霹靂《へきれき》のごとく感じた。
(そうか、四次元の人だったか。うっかり私は、そのことを忘れていたのだ。そうだったか。これは魔術ではなかったのだ。私は今、四次元の世界にとびこんでいたわけか)
四次元の世界にとびこむとは、知っている人は知っている。知らない人には、これを説明して聞かせることがちょっと、むつか
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