しっかりやれ!」


   司令長官室――透明人間


 さして広くはないけれど、どこかの宮殿の模型のような、飾りたてた部屋である。
 正面にはどっしりした事務机があって、そのうえには書類がひろげ放しになっている。その前には会議|卓子《テーブル》があって、周囲《まわり》には、やわらかそうな皮製の椅子が、十ほど並んでいる。壁には、複雑なパネル型の通信機が、取りつけてあるすばらしい司令長官室だ。
 私は、長官ピース提督の椅子に腰をおろして、彼がこの部屋に戻ってくるのを待つことにした。そしてそのついでに、長官の机上に散らばっている書類を、片っ端から拾い読みをしていった。
 その書類の多くは電報だった。
 それを読むと、米連艦隊は、いま日本を最後の目標として、南方から肉迫せんとしているところだし、他方欧弗同盟は、アジア大陸の日本を北及西から攻撃せんとしており、大東亜共栄圏はもちろんのこと、日本は南北から挟撃されようとしていることがはっきり分った。
(ひどいことをしやがる。有色人種の犠牲において、白人たちがいいことをしようというのだろう)
 私は、そう思わないではいられなかった。これは私だけのひ
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