術といった方がいいかもしれないが……。
 X大使は、恐らく、世界最高の学者ではないかと思う。真にすぐれた学者が、自分の究めた科学力をひっさげて、自分の意志のままに、世の中を闊歩しはじめたら、これは手がつけられないだろう。
 X大使は、正にそれだ。
 汎米連邦の国力よりも、欧弗同盟の兵力よりも、X大使の意志こそ、この際、最も恐るべきものである――と、私は信じたことであった。
 行こう、X大使とともに。そして、しばらくX大使の魔術ではない魔術を静観しよう。
「では、X大使。私を、米連艦隊の旗艦へつれていって呉れたまえ」
「よろしい。向うへいったら、君が訊《き》きたいと思うことを訊いてよろしい。しかし、わしの代りに、一つ二つ訊いてもらいたいことが出来るかもしれない。そのときは、ぬかりなく、やってくれたまえ。むろん相手には、悟られぬようにな」
 X大使は、妙な注文をつけた。私は承知した。
「さあ、それでは……」
 と、X大使がいったかと思うと、私は、急に目まいがした……。と、またX大使の声だ。
「おい、しっかりしろ。旗艦ユーダ号の司令長官室だ。今、ピース提督が、ひとりで、この部屋へ戻ってくる。
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