航空禁止を報道すると共に、アメリカ空軍が空中よりテレビジョン送影機の投下を行いつつあり、それは相当の効果をあげている旨を伝えた。それに続いて、そのテレビジョンが新聞写真とニュース映画とによって、世界の人々の目にうつるようになった。しかしそのテレビジョンをそのまま受信して公開することだけは禁止されていた。
今や大西洋海底に怪人集団が蟠居していることは世界の隅々まで知れ亙った。そしてそれに対抗する手段が活発に議論せられるに至った。小田原評定をつづけていた世界連合の臨時緊急会議も漸《ようや》く肚《はら》が決まったらしく、テレビジョン偵察の快挙を支持し、なおこれが更に積極的なる平和的解決に利用されるようにアメリカ当局に対して要請するところがあった。ところが世界連合としては、これまで一向適切な具体的な平和手段を採択することが出来ず、世界各地から非難を浴びつづけであったため、遂に思い切って、その具体案を広く全世界から募集する旨を発表した。すなわちその募集文の一節に、
“――この際最も必要とするところは、如何なる方法により、かの怪人たちとわれわれとが意志の疎通を図ることが出来るかという問題にある。
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