潜水艦を手に入れなければならない」
「潜水艦? そんなものはアメリカにたくさんあるんだろうに……」
「アメリカのでは駄目。ぜひヤクーツク[#、87−上段−7]造船所製のものが必要なんだ」
「ヤクーツク[#、87−上段−9]造船所のものが……。だってあそこで潜水艦を作った話は聞いていないぞ。それに、何もわざわざあんなところの手を借りなくても……」
 といいかけてドレゴは出かかった言葉を急に嚥みこみ目を皿のように大きくした。
「……そうか、あの一件だな、ゼムリヤ号の耐圧力……」
「そうなんだ。あのすばらしい耐圧力を持った潜水艦がぜひ欲しいんだ」
「ふうん、それは……それはどうかなあ、果たしてうまく行くかなあ。困難だねえ、大困難だねえ。それにあそこで潜水艦をこしらえたという話は一向耳にしていないからね」
「たとえこれまでに建造したことがなくっても、今度ぜひ建造して貰わねばならないのだ」
「大困難。不可能。たとえ百の神々が味方したって、まず絶望に近いね」

  怪人対策の懸賞募集

 水戸はドレゴの家に隠れて生活することとなった。
 ドレゴは、水戸の顔を見るなりエミリーの恋を水戸に伝えたく思っ
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