がしてあった。わしは愕いて、すぐさま探照灯を消させた。わしが見たのはそれだけだ。その後も頭上ではいつまでも飛行機の音がひっきりなしにぶんぶんいっていたがね」
船長の顔が夕闇の中に溶けこんで、その表情が見えなくなった。
「すごいことでしたね。一体それは何だったんでしょう」
ドレゴは吐息と共に訊《き》いた。
「解釈は君の勝手さ」
「――その地点は……」
「間違いなく例の海域だった」
「機雷攻撃ぐらいで、あの怪人集団が参るでしょうか」
「機雷じゃないと思うね。水中爆雷でもない。もっと別のものだろう」
「船長は、それが何だと想像されるんですか」
「今もいうとおり、解釈は君の勝手さ。しかしねえ、ちょっと面白いことがあるんだよ」
そういって船長、暗闇の中にライターをかちっといわせて、煙草に火をつけた。
「君の身体がひまなら、無電局長のところへ行って、船長から聞いたが面白いものを見せてくれといってみたまえ」
テレビジョン傍受
ドレゴは、それを聞くと、猟犬のように甲板を走り、ラッタルを駈上って、無電室の扉を叩いた。
「ほっほっほっ。君は運のいい男だよ、ドレゴ君」
と、局長のブラウンは
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