やしないよ。そうじゃないかね」
「君の説に賛成するよ」
その場において反対する者はなかった。
だが、ワーナー博士一行の所在をつきとめる方が早道だという者と、発信者を探したがよい、殊に第二報が聞えたら、すぐ無線探知器を使って発信者の位置を決定する[#「決定する」は底本では「決定をする」、70−上段−12]用意をなすべきだという者と、方針は二つに別れた。
記者たちは、経験と勘と、そして自動車と飛行機と電波と金とを利器として、四方八方に活動を開始した。
こんなことがどの通信社にも新聞社にも起った。正にヘルナー山頂に坐礁したゼムリヤ号事件以来の特種であった。いや、ゼムリヤ号事件から続いて起った事件だから、通信従事者の昂奮もまたすばらしく大きかったのである。
高等生物団
第一報発表以後のわずか十八時間に、各社の第一線記者は悉くへたばってしまった。あらゆる探索は失敗に帰し、何の収穫も手に入らなかったのである。
アイスランドは勿論のこと、大西洋全域から、各国の重要都市が一つ残らず探索されたけれど、どこにもワーナー博士一行の新しい消息も見当らず、聞き当らなかった。第一報の電波発信者
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