して全力をあげて真相の追求にかかった。
「一体このニュースを初めに出したのは、どこの誰だい」
「それがおかしいのだ。今日の十一時にWGY局が短波で呼出され、あの第一報が伝えられたんだそうな。WGY局ではおどろいて政府当局に連絡して、真偽のほどを質問した。すると政府のスポークスマンは、それを否定もしないし、また肯定もしないと回答した。ところで、それではあの通信に幾分の真相が含まれているものと見なし、正午に全世界へ報道したというわけだそうだぜ」
「ちょっと妙だよ。政府のその態度は。当局の意向《いこう》として云々という文句があるのに、それを否定も肯定もしないというのは……」
「だからね。僕の考えじゃあ、政府当局はあの事件についてまだ調査中なんじゃないかね。調査中だから確かなことはいえない。だがともかくもああいう事件は事実存在する。そこであんな態度に出たと思うね」
「まあ、その辺だろう。と、われわれはもっと真相を知らねばならない。さあ、そうなるとどこから入り込むか」
「発信者の所在を早く探出すことだね」
 と別の記者が口をはさんだ。
「いや、それよりはワーナー博士一行の所在地へ飛び込むことだ」
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