ん》飛行機を使っているか、乃至《ないし》はグライダーをもって、わがロイヤル・オーク号を空爆《くうばく》したものにちがいない。
(×月×日、照国丸《てるくにまる》より)
余は、ロイヤル・オーク号事件にて少々健康を痛めたのを口実に、英国を去り、仏国へ行っていた。これは、ちょっと英国という国が、癪《しゃく》にさわったのにも原因する。しかし個人の鬱憤《うっぷん》のため、一時にもせよ、原稿のネタを仕入れるべき地元《じもと》英国を去ったことは、甚《はなは》だよくなかったと気がついたので、遂《つい》に再び英国入りを決し、幸《さいわ》い照国丸がロンドンへ向うことがわかったので、船室のないのを承知のうえで、無理やりに頼みこんで、ようやく同船の特三等船客となることができた。
只今は、朝食を終ったばかりであるが、船は今、ドーヴァを左に見て、いよいよこれよりテームズ河口へ入ろうとしているところだ。附近は、独国海軍の侵入《しんにゅう》を喰い止めるために、到《いた》るところに機雷原《きらいげん》が敷《し》かれてあるので、かなり面倒なコースをとらなければならない。しかし安心なことには、英国海軍当局は、わざわざパ
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