いいえ、あなたではない」
「わしが自分で谷だといっているのに、なにをうたがいますか」
「それなら申しますが、谷博士は、目をわるくして、今も病院で目を繃帯《ほうたい》し、まったくなにも見えないのです。あなたは、谷博士に似ているが、目はよくお見えになるようです。すると、あなたはほんとうの谷博士ではないということになりますねえ」
「あっはっはっは。なにをいうか、君たち。なにも知らないくせに。まあ、こっちへ来たまえ」
「いやです。おい、みんな早く、外へ出よう」
 戸山のことばに、少年たちはすばやく博士ののばす手の下をくぐり、塔から外へとびだした。そして足のつづくかぎりどんどん走って、山をおりた。
 一軒の警官の家の前へ出ると、その中へとびこんだ。
「たいへんです。大事件なんですから。東京の警視庁へ電話をかけてください」
「だめだねえ。この電話は、一週間まえから故障で、どこへも通じないんじゃよ」
「ちぇッ。しょうがないなあ」
 少年たちは、そこをあきらめて、またふもとの方へ走った。そして東京への電話の通ずる家を探したが、なかなか思うようにいかなかった。
 少年たちが目的を達して、警視庁と話のでき
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