博士はうなずいた。
「博士さまの、その頭の鉢巻《はちま》きは、どうしたのけえ」
「作十《さくじゅう》よ。おまえ、ものを知らねえな。博士さまが頭に巻いているのは鉢巻きではない。あれは繃帯《ほうたい》ちゅうものだ」
「繃帯ぐらい、わしは知っているよ。繃帯のことを略《りゃく》して鉢巻きというんじゃ」
「強情《ごうじょう》だの、おまえは」
「博士さま、その頭の繃帯は、どうしなすったのじゃ」
それにたいして、博士は次のように答えた。
「この繃帯は、じつは悪性の腫物《はれもの》ができたので、そこへ膏薬《こうやく》をつけて、この繃帯で巻いているのです。悪いおできのことだから、いつまでも直らなくて、わしも困っていますわい」
「そんなところへできるできものは、ほんとにたちがよくないから、くれぐれも気をつけなされや。そうだ。ふもと村の慈行院《じぎょういん》へいって、お灸《きゅう》をすえてもらうと、きっと直る」
「うんにゃ、それよりも鎮守《ちんじゅ》さまのうしろに住んでいる巫女《みこ》の大多羅尊《だいだらそん》さまに頼んで、博士さまについている神様をよびだして、その神様に“早う、おできを直すよう、とりはか
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