》かもしれんが……。ちょいと君、これで見てごらん」
 そこで案内人は、双眼鏡を貸してもらって目にあてた。ようやく視野《しや》に、その疑問の人物がはいって来た。
「やあ、あれは谷博士さまだ。博士さまは、ご無事だったのけえ」
「幽霊《ゆうれい》かもしれんよ」
「待った、だんな。このお山の中で幽霊なんていっちゃならねえ。お山が、けがれますからね」
「でも、君が塔の中の人を見て、あまりふしぎがっているからさ」
「いや、博士さまにまちがいはねえ。これは土産ばなしができたわ」
 たしかにその人物は、ほんとに生きている人間であって、幽霊ではなかった。
 谷博士さまが研究所の中を歩いていなさった――というニュースは、たちまちそのあたりの村々へ伝わった。
「博士さまは、これからどうするつもりかの」
「金になるものは売って金にかえ、三角岳から引きあげるのじゃなかろうか。あんなにこわれては、直しようもないからねえ」
「もう、それに、こんどというこんどは、雷さまの天罰《てんばつ》にこりなさったろう」
 村人たちがそんなうわさをしているとき、谷博士が村へひょっくり姿をあらわしたので、みんなびっくり仰天《ぎょうて
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