についている一つのスイッチを入れ、それから舵輪《だりん》のような形のハンドルを握って、ぐるぐると廻しはじめた。
「どうじゃな。まだか。これでもか」
博士は、蒼白《そうはく》な顔に、ねっとりと脂汗《あぶらあせ》をうかばせて、しきりに機械人間の制御を試《こころ》みている様子。
がっちゃん、がっちゃん、がっちゃん。
にぎやかな足音をたてて、奥から機械人間が出て来た。手にはダイナマイトの箱をぶらさげている。少年たちは、それを見て胆《きも》をつぶした。あぶない。いつ爆発するやら、たいへんだ。どうしたらいいのか。少年たちはおどろきのあまり、呼吸が苦しくなり、口もきけなかった。
何も見えない谷博士ばかりは、熱心に制御台の前でハンドルを廻しつづけている。
が、博士にも、機械人間の足音が耳にはいった。
「おや、まだとまらない。ふん、こっちへ歩いて来たな。もう機械人間はここらで停止しなければならないんだが、はてな……」
すると、博士の耳のそばで、気味のわるい声がした。
「さっきから、からだの中が、もぞもぞとこそばゆくてならないと思ったら、君がこの旧式の制御器で、制御電波《せいぎょでんぱ》を出し
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