かえている自分のもとのからだを見て、心配そうにたずねた。
「いまはそんなことをしているひまはないよ。もう少し待ちたまえ」
博士は機械をいじりながら、それどころではないというように、いらいらした調子で答えた。
「でも、それでは、夏ですから、からだがくさってしまいますよ」
なるほど、警部にとっては、それこそ天下の一大事である。
「それが心配だったら、冷蔵室へ入れておきたまえ」
「この中には、冷蔵室はあるのですか」
「もちろんだよ。この下の二階の中央のM17と書いてある部屋だ」
「ああ、それでやっと安心した。では行って来ましょう」
山形警部は、あぶら汗《あせ》を流しながら、自分のからだを背負って、えっちらおっちら歩きだした。こういう危急存亡《ききゅうそんぼう》の時でなかったら、それは吹きだしたくなるような、珍妙《ちんみょう》な光景であったろう。何しろ、女学生みたいな若い娘が大の男の裸のからだを背負って歩いているのだし、この精妙な操縦装置の前に坐って、機械をいじっているのがサルなのだから――
「よし、機械の調子はしごく良好《りょうこう》だ。それではだまって爆撃するのも卑怯《ひきょう》だか
前へ
次へ
全194ページ中171ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング