というのは氷室検事。
「いや、どうも私がうかつで申しわけありませんでした。おかしいおかしいとは思っていたのですが、何しろこのあたりは、メトロポリスとかいう化物地帯《ばけものちたい》で、木が物をいいだしたり、石や机がひとりで動きだしたり、あまり気味がよくないので、警官もこわがって、やって来るのを二の足ふんでいたんです。しかし山形君は、えらい手柄《てがら》を立てました。これで私も、鼻が高いというものです」
 署長は、振りこぶしを鼻の前にあてて、天狗《てんぐ》のようなまねをして見せた。その時である。突如として自動車にとりつけてある短波受信機から、あの緊急待避警報《きんきゅうたいひけいほう》がひびいて来たのは――
 署長の高い鼻も、とたんにペシャンコになってしまった。
「ストップ、ストップ、この車をはやくとめるんだ」
「はい」
 運転手も、あまりあわてて、ブレーキをかけたものだから、その次に走っていたトラックは、この車にしょうとつして、乗用車の方は横たおしとなり氷室検事も署長もほうぼうをすりむいて、やっと車の中からはいだして来た。
「ばか、何をするんだ」
 署長はかんかんになって、トラック
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