人の生活が非常によくなったころのことである。
ところが、その後になって、博士の評判は少しわるい方へ引きかえした。
それは博士の作るものが、あまり奇抜《きばつ》すぎたためであった。村人にとって、ものをいう木や、いいつけた用事をしてくれる甲虫《かぶとむし》や、知らないうちに告げ口をする雀《すずめ》や、歌をうたうのが上手《じょうず》な柱などは、はじめのうちこそふしぎふしぎと手をうって、ほめたたえたけれども、それから時がたつと、そういうものには、どうしても親しめなかった。いや、親しめないばかりか、気味がわるくてならない。村人たちは、うっかりしたことがいえないのだ。いつどこに、スパイのような木や石や小動物がかくれているか知れないのであった。
腰掛《こしかけ》に腰をかけて、仲よく二人の人間が話をしていると、その腰掛が、とちゅうで怒《おこ》ってしまって、あッというまに、腰掛は二人をそこへ尻餅《しりもち》をつかせて、どんどん部屋から逃げていってしまうのだった。
そのかわりべんりなこともあった。さあ、引越《ひっこ》しだと主人が命令をすると、家中の道具が、自分で動きだして、移転先《いてんさき》の家
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