がとう。機械人間君、お礼をいうよ。このとおりだ」
 サルは機械人間の鉄の手をにぎって、ぽろぽろと涙をこぼした。
「お礼なんか、どうだっていいんですよ。だれかに見つかるといけませんから、ちょっと細工《さいく》をしておきましょう。どうせばれるにはちがいありませんが、一分でも時をかせいだ方が有利ですからね」
 機械人間は、檻をたたいて何か合図をした。すると空になった檻は、すっかりひとりでに動いて廊下へ出た。と思うと、廊下からは、となりの部屋にあったはずの、サルの眠っている檻が、ひとりではいって来たのである。
「こうしておけば、しばらくは先生がここから逃げだしたこともごまかせるでしょう。X号は、先生がいつのまにか、サルに退化《たいか》したと思ってびっくりしますよ。わっはっは」
 機械人間はこういって、からからと笑った。なんとふしぎな機械人間ではないか。
「それでは先生、みなさん、こちらへ」
「いったい、君は何者《なにもの》なんだね」
 サルの谷博士は、まだまだこの機械人間に気は許せないという様子であった。機械人間は、ふふふとふくみ笑いをすると、サルの耳に口をよせて、何かくしゃくしゃ、ささやいた。
「えッ、君はすると……」
「しッ、先生、大きな声を出しちゃいけませんよ。この建物の中では、何一つゆだんして物がいえないのですよ」
 機械人間はこういって、じッとあたりの様子をうかがっているのだった。


   X号おどろく


 その翌朝、X号の谷博士は、大きなあくびをしながら、自分の部屋の寝台の上で目をさました。
「ああ、いい気持ちだった。ゆうべ電気をかけておいたおかげで久しぶりによく寝たが、これでせいせいしたわい」
 こんなひとりごとをいって、博士は枕《まくら》もとのボタンを押した。
 扉がひらいて、一人の機械人間が、銀の盆《ぼん》の上に朝食をのせてあらわれた。バタートーストにスープに、ハムエッグスに、コーヒーに葡萄酒《ぶとうしゅ》、どれもふつうの量の三倍から四倍もあった。
 顔も洗わず、歯もみがかずに、X号がもりもりと、朝食をたべはじめた時である。扉のかげから、いま一人の機械人間が、あわてたようにかけこんで来た。
「先生、たいへん、たいへんですよ」
「なんだ、うるさい。朝っぱらから、そんな大きな声でさわぎたてては、朝飯《あさめし》がまずくなってしまうじゃないか」
 X号は、眉
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