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 解法は、何もこれ一つに限らず、もっといい別の方法があってもいいわけで、よく考えて頂きたいものである。

 このへんで例題の解説は打切ることとする。


  4 “虫喰い算”大会について


 いよいよこれから「“虫喰い算”大会」を開催する。第一会場から第三十会場まである。一会場につき、いずれも四題ぐらいずつが掲げてある。じっくりとぶつかって、推理の力により答を出して頂きたい。
 空白の頁は、こまかい計算をしたり、またやり直すのに便利なために明けておいた。
 一日に一会場以上は進まない方がよろしいと思う。どんどん通ってしまっては、頭も痛くなるであろうし、珠玉のような虫喰い算の味が十分は味えないと思う。
 四問題のうち、初めの二問題か三問題は比較的やさしいが、後に出て来るものは大分むつかしくなっている。
 また最初のうちの会場は、わりあい楽であるが、会場が進むにつれて、だんだんむつかしくなって来る。第二十会場あたりからあとは、相当に骨が折れて頭から湯気を出されることと思う。その代り十分骨折り甲斐のある虫喰い算の魅力を満喫せられることであろう。
 なお、これらの答は、わざとつけてない。答を繰ってみて、「ははあ、なんだこの□は9か」などとやられては、虫喰い算の妙味はなくなってしまう。もしやり方に詰ったら、その前の例題を復習して、虫喰い算の解き方のこつ[#「こつ」に傍点]を会得せられ、それからもう一度問題と取組んでいただきたい。
 第一会場をパスすれば、第一階選士となられる。かくてどんどん進んで、第三十会場をパスすれば、当然第三十階選士として最高の名誉を獲得せられるわけで、メダルでも出したいところであるが、あいにく手許にないのは遺憾である。
 第三十階選士になったからといって、この虫喰い算の書はつまらないものと化したわけではない。また改めてもう一度第一会場からくりかえしてみられると、また新なる感興を覚えられるであろう。虫喰い算は、一度や二度解いたから、そのあとはもう興味索然とするような、そんな薄っぺらなものではない。こうして二度三度四度とやりかえすために、本書にインキで書き込むことは控えて、なるべく軟い鉛筆で記入されたいものである。
 では会場を開きますぞ。さあさあ世界にめずらしい「“虫喰い算”大会」の会場は、こちらが出発点でござ
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