いう次第だが、送金するかどうかということはともかく、その後氷河期が来るか来ないのか、何か新しい予想でも立ちましたかな」
総監は、そういって、一同の顔を見わたしたのであった。
すると、青倉教授は、即座に、
「私の考えは、いっこうに変更なしです」
と断言した。精神病部長の馬詰博士は、
「こんなことをいってくるようでは、北見さんは、いよいよ精神病者ですよ」
と、これも北見博士に不利な証言をした。
中央気象台の志々度博士は、考え込んだまま、口を開こうとはしない。多島警視も唇を噛んで黙っている。
「あとのお二人の意見も聞かせてもらいたいものですね。まず、志々度博士のお考えを」
催促されて、志々度博士は、前回とはちがって、深刻な表情で、
「実は、そのことについて、私は迷っているのです。というのは、前回においては、私は氷河期が来るという北見博士の説を一蹴しましたが、最近になって、少し気になることを発見して、迷っています」
「ほう、気になる発見というと……」
「それは、世界各地からの気温報告を統計によって調べてみますと、例年同期に比して、平均七度の降下を示しています」
「なるほど」
「とこ
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