み》、山崩れ、食糧問題、治安問題などが、いたるところに起っているのであろう。日本全国が、今や恐るべき天災のために、刻々とくずされ、焼きつくされ、そして大洋の高潮に洗われていることであろう。
 救援は、誰がする?
 関東震災のときは、関西、東北、九州、北海道をはじめ、日本各地からの救援の手が、さしのべられた。しかしこんどの驚異的大震災は全国に拡がっているから、国内同士では、救いの手を伸ばしようがない。自分たちが、まず救われたいのであったから。
 関東震災のときは、外国からの救援があった。アメリカなどは、慰問品を軍艦につんで、急派してくれたものだ。
 アメリカは、今度も、そのような同情を寄せてくれるであろうか。
 アメリカに、それは望めないとしたら、ソ連はどうであろう。南米はどうであろう。また中華民国や、大南洋はどうであろうか。
 植松総監は、この緊急の事態に面して、はなはだ不本意ではあるが、外国からの救援に、焦けつくような望みをかけたのであった。
 ところが、だんだんと外電が入ってくるにおよんで、それはいっさい、望み得ないことが分ってきた。
 なぜであろうか?
 理由は、日本内地と同じこ
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