大使館の始末機関
――金博士シリーズ・7――
海野十三

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)豆戦車《まめせんしゃ》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)只今|仕度《したく》を

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)かくしゃく[#「かくしゃく」に傍点]
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     1


 ずいぶんいい気持で、兵器発明王の金博士は、豆戦車《まめせんしゃ》の中に睡った。
 睡眠剤《すいみんざい》の覚《さ》め際《ぎわ》は、縁側《えんがわ》から足をすとんと踏み外《はず》すが如く、極《きわ》めてすとん的なるものであって、金博士は鼾《いびき》を途中でぴたりと停めたかと思うと、もう次の瞬間には、
「さて、この大使館では朝飯《あさめし》にどんな御馳走を出しよるかな」
 と、寝言《ねごと》ではない独《ひと》り言をいった。
 博士が、年齢の割にかくしゃく[#「かくしゃく」に傍点]たる原因は、一つは博士の旺盛《おうせい》なる食慾にあるといっていい。
 目の前に押釦《おしボタン》が並んでいた。
 押釦というものは便利なもので、それを指で押すだけで、大概
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