に絶対信頼を置いたればこそです。然《しか》るに況《いわ》んやそれ……」
「当館の始末機関は絶対に信頼し得るものじゃったのじゃ、すくなくとも昨日までのところは……。しかしあの金博士に限り効目《ききめ》がないので呆《あき》れている。察するところ、金博士のあの素晴らしい食慾が、一切を阻《はば》んでいるのかもしれん」
「食慾なんかに関係があるもんですか。あの毒酒にしても毒蛇にしても、インチキじゃないかな」
「そんなことはない。あの毒酒では、過去において千七百十九名の者が斃《たお》れ、毒蛇では百九十三名が斃れ、いずれも百パーセントの成功を見たのじゃ。殊《こと》にあの毒蛇に咬《か》まれた者のあのものすごい苦しみ方に至っては……」
「それは余も一度見たことがありますが、実に顔を背《そむ》けずにはいられなかったです。その毒蛇と今日の毒蛇と、毒性は同じものですかね」
「毒性に至っては、今日のやつは、特別激しいものを選んだのだ。しかも今日のやつは、非常に獰猛《どうもう》で、人を見たら弾丸のように飛んでいって咬みつくという攻撃精神に燃え立っている攻撃隊員というところを五匹ばかり選《え》り抜《ぬ》いたので、そ
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