ちこちに怒声《どせい》がおこる。
 と、次の瞬間、天地もふるうような大爆音が起った。猛烈な空気のながれ、目もくらむような大閃光《だいせんこう》。
 ぐわーん、めりめりめり、ばらばらばらと、なにが飛ぶのか、根拠地の奥の方ではひっくりかえるようなさわぎだ。
 敵は寝耳に水のおどろきで、ぞろぞろと格納庫やあな蔵のなかからとびだしてきたが、そこへ、わーっと喊《とき》の声をあげてとびこんできたのが、大月大佐を先頭に決死隊甲組の面々であった。
 こうなればピストルよりも白刃がものをいう。五勇士はいずれもそのむかしの戦場のつわものだ。右往左往《うおうさおう》する寝ぼけ眼の敵の中におどりこんで、あたるを幸いと切って切って切りまくる。
 そのころ火のついた油タンクは火勢を一段とつよめて燃えさかる。
 にげまどう敵の脂汗《あぶらあせ》にまみれた顔に、紅蓮《ぐれん》の火が血をあびたように映える。


   大団円《だいだんえん》


 不意をうたれては、世界無比をほこる空魔艦もその乗組員も、まるで藁細工《わらざいく》と同じことである。
 おそろしい武力の中心は、わずか十名のわが日本人の手によってひっくりかえ
前へ 次へ
全68ページ中65ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング