ちこちに怒声《どせい》がおこる。
と、次の瞬間、天地もふるうような大爆音が起った。猛烈な空気のながれ、目もくらむような大閃光《だいせんこう》。
ぐわーん、めりめりめり、ばらばらばらと、なにが飛ぶのか、根拠地の奥の方ではひっくりかえるようなさわぎだ。
敵は寝耳に水のおどろきで、ぞろぞろと格納庫やあな蔵のなかからとびだしてきたが、そこへ、わーっと喊《とき》の声をあげてとびこんできたのが、大月大佐を先頭に決死隊甲組の面々であった。
こうなればピストルよりも白刃がものをいう。五勇士はいずれもそのむかしの戦場のつわものだ。右往左往《うおうさおう》する寝ぼけ眼の敵の中におどりこんで、あたるを幸いと切って切って切りまくる。
そのころ火のついた油タンクは火勢を一段とつよめて燃えさかる。
にげまどう敵の脂汗《あぶらあせ》にまみれた顔に、紅蓮《ぐれん》の火が血をあびたように映える。
大団円《だいだんえん》
不意をうたれては、世界無比をほこる空魔艦もその乗組員も、まるで藁細工《わらざいく》と同じことである。
おそろしい武力の中心は、わずか十名のわが日本人の手によってひっくりかえ
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