て進むこととなった。
丁坊は乙組になった。
決死隊出発
出発は、その翌日の夜になった。
昼間は空魔艦に見つけられるおそれあるので、夜にしたのだった。
隊員は身体をすっかり氷とみまがう白装束《しろしょうぞく》でつつんだ。これは敵の眼をできるだけあざむくためであった。
まず松川学士を隊長とする乙組が出発した。
「じゃあ皆さん、いってきますよ。きっと空魔艦をぶん捕《ど》ってきますよ」
丁坊は元気に出発した。
「どうか本当に空魔艦をぶん捕っておいでよ。丁坊くん、ばんざーい」
「丁坊、しっかり頼むよ。おれもすぐ後から出発する」
と、大月大佐も大きな声で一行をはげました。
冷い氷上を、一行はひとりひとり重い荷物をせおって進軍をおこした。橇《そり》もなければ、犬もいない。歩きなれない氷上を、一行は小暗《こぐら》いカンテラの灯をたよりにして、一歩一歩敵地にすすんでいった。
夜が明けかかると、一行は大いそぎで氷を掘り目立たぬ氷の室《へや》をつくった。そして一日その中にもぐりこんで、眠られぬ時間をしいて睡った。敵地へしのびよるには、昼間歩いてはならぬ。見つけられてはおしまい
前へ
次へ
全68ページ中61ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング