はじめ考えたとおり、空魔艦の根拠地へ攻めてゆきましょう」
と、まっさきにいったのは丁坊少年だ。
「だが、食料は半分になったし、死傷は十名にのぼる。これではとてもつよい決死隊をつくるわけにはゆかない」
と、他の隊員が元気のないことをいった。
すると大月大佐は、ぬっと立ちあがり、
「隊員のかずがすくなくなっても、日中戦争の徐州《じょしゅう》攻略のときのように、うまい作戦をたてれば成功することもあるんだ。よし、やっぱり決死隊を作って一か八か攻めてゆこう」
「それがいい。ばんざーい」
と、元気のいい隊員は両手をあげて、隊長の考えに賛成した。
「うむ、それではこれから作戦を考えよう。人数はすくなくとも、必ず成功するという戦法をみんなで考えだすのだ」
夜をとおして、みんなが智恵をしぼったあげく、これならまず大丈夫という作戦がきまった。
そこでいよいよ決死隊のかおぶれがはりだされたが、隊員の数は、前より五名減って、十人となり、怪我をした者はみな天幕に留守番をすることとなった。もちろん決死隊長は大月大佐であり、大佐は甲組四名をひきつれてゆくこととし、松川学士は乙組四名をひきつれ、二隊になっ
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