のくらいあるかをしらべた上で、出来るものなら、空魔艦遠征部隊をつくることにしよう」
大月大佐は、遂に重大なる決意を固めて、そういった。
それはいいが、この会話がすっかり空魔艦に筒ぬけに聞えているのだから、まことに危いことだった。
高声器の前にいた空魔艦の隊長「笑い熊」は、うふふふと気味わるい笑い声をあげた。
「そうか。この若鷹丸は、やはり俺たちのことを探偵にやってきたのだったか。氷上づたいに俺たちを攻めるなんて、生意気なことをいっているな。よし、それではこっちにも覚悟があるぞ」
と、ひとりで肯《うなず》くと、また高声器の前に耳を傾けた。
ところが、高声器はもう何にも物をいわなくなった。
「おい、無線長。聞えなくなったじゃないか。一体どうしたのか」
といえば、狼狽《ろうばい》してしきりに目盛盤をうごかしていた無線長は、頭を一つ大きくふり、
「どうも変なことが起りました。急に相手の会話が聞えなくなったのです。あのいい器械が故障になることなんか、ない筈なんですがね」
といかにも不思議《ふしぎ》そうであった。
秘密発見
それよりすこし前のことであった。
丁坊少年
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