てくれたかしら?「笑い熊」機長は、丁坊を自由にしてくれるかしら。
 どやどやと、入りみだれた足音が近づいてきた。チンセイ一人ではなさそうだ。ではうまく行ったのかと思っていると、扉がガチャリと明いた。
 真先に入ってきたのは、例の防毒面の怪人で、一番えらそうな人物――これこそ機長の「笑い熊」であると知られた。
 そのうしろからチンセイや、主脳部《しゅのうぶ》の怪人たちがつづいた。
 チンセイは「笑い熊」のうしろからとびだしてきて、丁坊のそばにすりよった。
「おい丁坊。機長さんに話をしたところ、お前を自由にするまえに、一つ試験をするといっているぜ。その代り、この試験に及第すれば、この空魔艦の一員にとりたててやるというのだ。しっかりやれ」
 丁坊は、うなずいた。試験もよかろう。とにかく早く自由にしてもらわねば、どうすることも出来やしない。
「笑い熊」が手をあげて合図すると怪人たちは太い針金でもって、丁坊の身体をぐるぐると捲《ま》いてしまった。
 どうするのかと思っていると、「笑い熊」がチンセイをよんで、なにごとかを命令した。
 それを聞いていたチンセイは、窓のそとをのぞいて、さっと顔色をかえ
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