き》!」
 国のない国って、どんな国のことだろう。
 丁坊は、まるでなぞなぞの問題をだされたように思った。
 そのうちに、空魔艦はにわかに高度を、ぐっとさげはじめた。
 じつに上手な操縦ぶりだ。
 たちまち白い地上は、すぐ近くにもりあがってきた。
 下は氷でおおわれている。どうみても極地の風景であった。
 その広々とした氷の上に、ばらばらと黒い点があらわれた。よく見ると、人間らしい。
 空魔艦はエンジンの爆音もたからかに、どしんと氷上についた。
 どこかでブーブーと、サイレンがなりひびいている。
 長い滑走をしたあげく、やがて空魔艦の停ったところは、小山のような氷山の前であった。
 チンセイはあわてて部屋をとびだしていった。
 丁坊は、窓のところに顔を出して、ものめずらしげに、あたりの氷山風景をながめまわした。
 よくみると氷山の下がくりぬいてあって、大きな穴ができている。その穴が格納庫《かくのうこ》になっているらしく、空魔艦と同じ形の飛行機がおさまっている。穴の中からは、毛皮をきた人間が、ぞろぞろ出て来て、こっちへかけつけてくる。どうやらここは飛行港《ひこうこう》らしい。
 どうなる
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