つぶやいて、ひとりで頷《うなず》いた。そしてすぐ又、いそがしく鉛筆をはしらせている無電員の手もとを見つめていた。
“第五斥候隊報告。わが隊の携帯用無電機眼がけて拳をふりあげて来った怪物団は、その甲虫の如き頑丈なる身体つきにも拘《かか》わらず、力ははなはだ弱きことを発見せり。
彼らはわれわれの強力無双なるに驚愕せらるものの如し……”
「ふーむ――」
辻中佐は、その報告を読んで、にやりとした。この第五斥候隊が、自分で自分たちのことを強力無双などと大変な力持ちのようにいっているのには、わけがあった。つまり、ここは月世界なのだから、地球に比べて重力は六分の一しかないのである。地球上で十キロのものしか持ち上げられない者も、この月世界に来れば、実に六十キロの大岩石を悠々と持ち上げてしまうことになるのだ。地球上の六倍の力もちになってしまうのである。だから、第五斥候隊となっている艇員たちは、誰も彼も、二百キロぐらいの大岩石を、平気で投げ飛ばすほどの力持ちばかりが揃《そろ》っていることになるわけである。
それでは、襲撃して来た怪物の方でびっくりするのも無理ではない。
勝ちほこった第五斥候隊からの報
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